人種差別的行為をしたグリエルの5試合の出場禁止処分は妥当なのか? テニスやサッカー等の事例から考察

スポーツ

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先日のWSでダルビッシュ選手に対して人種差別的行為をしたとしてグリエル選手に5試合の出所禁止処分が下されたとMLBが公表しました。

m.mlb.com

主な処分の内容として

  • 2018年レギュラーシーズンの開幕から5試合の出場禁止

がグリエル選手に対して科されました。

また5試合分のグリエルの出場禁止期間の給料は慈善活動団体にアストロズを通じて寄付される模様のようです。

以下はグリエル選手の昨日の人種差別的行為に対する謝罪の言葉です。

”During last night’s game, I made an offensive gesture that was indefensible,” Gurriel said. “I sincerely apologize to everyone that I offended with my actions. I deeply regret it. I would particularly like to apologize to Yu Darvish, a pitcher that I admire and respect. I would also like to apologize to the Dodgers organization, the Astros, Major League Baseball and to all fans across the game.”

(citation from MLB.com)

簡単に翻訳すると

「昨日の試合での私がした弁解しようがない差別的なジェスチャーについて、私の行為意によって傷つけられた全ての方々に心から謝罪します。とても後悔しています。特に私が尊敬している投手であるダルビッシュ有選手に対してお詫び申し上げます。また、ドジャースやアストロズ、MLB、すべてのファンに心よりお詫び申し上げます。」

このような感じです。

本文にもあるように3度「apologioze」を使っているように何度も謝罪の言葉を述べていることがわかりますね。

既に終わったことなのでとやかく言う事はありませんがグリエル選手がここから何を学び、どう行動していくのか注視してみていきたいです。ダルビッシュ選手もコメントしたように人は誰でもミスをします。だからこそ、その後の行動がとても大事です。これをきっかけに何かあれば良いですが。。

と言いつつも個人的には今回のグリエル選手に対してのMLBの処分は軽いのではないかと思います。

今回は過去の事例を踏まえつつ今回の処分が妥当かどうか考えていきたいと思っています。

今回のMLBの処分

今回、MLBがWSの残り最大4試合の出場禁止ではなく、2018シーズンの開幕5試合の出場禁止処分を下した理由は以下の通りです。

1. Manfred felt it was important that the suspension carry the penalty of lost salary, which would happen only during the regular season.

2. Manfred felt it was “unfair to punish the other 24 players on the Astros’ roster” during the World Series. “I wanted the burden of the discipline to fall primarily on the wrongdoer,” he said.

3. Impressed by Darvish’s desire to move forward, Manfred felt starting the suspension at the beginning of next season would help.

4. Delaying the suspension would allow Gurriel to exercise his rights under the grievance procedures negotiated between MLB and the MLB Players Association, if he so desired. In the time since Manfred made his decision, he has gotten the sense that Gurriel will not be appealing the suspension.

  citation: MLB.com

  1. 出場禁止処分によって年俸減少の制裁が下せることができるのはレギュラーシーズンの間のみであること
  2. ロースター24人のうち一人を罰するのは不公平
  3. ダルビッシュ選手による要望もあり、来シーズンからの処分が良いと判断
  4. 処分を遅らせることによってグリエルの異議申し立てをする機会を与えるため

以上の4つが処分を2018年シーズンに引き延ばした理由のようです。

①の年俸の減額は$322,581、日本円にすると約3600万円に相当します。

はっきり言って5試合の出場禁止処分は少ないですね。

3600万円以上の罰金があるにせよ、この処分がWSからではないのが個人的には納得がいきません。

仮に年俸を減額することができなかったとしてもWSに出場させるべきではないと思います。

グリエル選手はそれだけのことをやったのですから言い訳はできません。

過去の差別行為に対する処分

過去の事例がいくつかあるので紹介していきます。

www.outsports.com

ブルージェイズのピラー

上記の記事にもあるようにゲイの方々に対するスラッグを使用したとして2試合の出場禁止処分が下されました。

ピラー選手の年俸は約$555,000、日本円にすると6300万円ほどになります。

そのうち2試合分をLGBT団体に寄付(実質の罰金)した模様です。

ピラー選手選手の年俸を6300万円と考えると、2試合分だいたい40万円の罰金という事になりますね。

他にも以下のような出場停止処分があります。

  • クレベンジャー(SEA)
    • 黒人の方を差別するようなツイート
    • シーズン残り10日間の出場停止(骨折しており実質意味なし)
    • 約340万円の減給
  • ジョイス(OAK)
    • スタンドの観客へ同性愛者に大抵の差別的発言
    • 2試合の出場停止
    • $54,000(¥614万円)以上の寄付(罰金)

以上が人種差別的な行為によるMLB又はMLB球団の処分になります。

全体的に差別発言に対して2試合の出場停止というとても甘い処分となっていますね。

他の主な出場停止について

  • プイグ(LAD)
    • 観客に中指を突き立て侮辱行為
    • 1試合の出場停止
    • 罰金(金額未確)
  • ハーパー (WSH)
    • 乱闘行為
    • 3試合の出場停止
    • 罰金
  • ファミリア (NYM)
    • 妻へのDVの疑いで逮捕
    • 15試合の出場停止
    • 実際には暴力はしていない
  • レッドソックスのファン
    • BALのA・ジョーンズ外野手に対して人種差別発言(Nワード)
    • ファンに対し永久入場禁止処分

乱闘が3試合の出場停止で差別発言よりも重い処分なのが少し理解しがたいですね。

勿論、乱闘は暴力であることは間違いないのですが、差別発言も一種の暴力であることは間違いないはずです。

さらに乱闘はプレイヤー当事者間の暴力行使であるのに対して、差別発言はもっと多くの人々に対しての暴力です。

にも関わらず、差別発言者に対する処分が少なすぎる気がします。

たったの2試合の出場停止と年俸の1.25%の罰金(寄付)が差別発言をした選手に科されただけ。

今回のグリエル選手に関しても、

5試合の出場停止処分と年俸の3%程度の罰金のみ

実に甘い処分のように感じるのは僕だけでしょうか?

他競技の事例

テニス

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他の競技からの事例を少し紹介したいと思います。

まずはグリエル選手と同様に「釣り目ポーズ」を行ったブラジル人のクリエル選手

metro.co.uk

デ杯で日本の杉田選手との試合中に人種差別的な「釣り目ポーズ」を行い罰金処分になりました。

その額は日本円でおよせ16万円ほど。

クレザル選手の2017年10月23日現在におけるシングルスのランキングは200位、2017年の獲得賞金は日本円で約536万円ほど。

すなわち獲得賞金の3%ほどの罰金になります。

テニスの事例ではMLBとほぼ同じような処分内容かと思います。

他には以下の処分事例もあります。

  • ナスターゼ(ルーマニア監督)
    • セリーナに関して人種差別的な発言
    • 「どんな色の子供が生まれるのだろうか」等の発言
    • 国際テニス連盟主催の大会への参加を3年間(2020年12月)まで禁止
    • 罰金約112万円

サッカー

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  • シェルベイ(ニューカッスル)
    • 人種差別行為
    • 発言を否定
    • 5試合の出場停止処分
    • イングランド・サッカー協会の教育プログラムの受講
    • 罰金約1460万円
  • ジョン・テリー (2012)
    • 相手選手への人種差別的発言
    • リーグ戦4試合の出場停止
    • 罰金約2800万円
  • ルイス・スアレス
    • エブラへの人種差別発言
    • 8試合の出場停止処分
    • 罰金約490万円
  • バーディー (レスター)
    • カジノで東アジア人のファン性に対して人種差別的発言
    • 「ジャップ」を3度連呼
    • 人種の多様性に関する講義の受講
    • 多額の罰金処分

以上がサッカーにおける主な人種差別的言動に対する処分の一例です。

全体的にみてMLBよりも処分は厳しいですね。

例えば出場停止処分の長さがMLBとは大きく違いますね。

上の4つの事例はどれもイングランド・プレミアリーグ(EL)における処分の一例です(ニューカッスルは当時2部)。

ELのリーグ戦はシーズン38試合です。

そのためMLBの160試合と比べると1試合あたりの出場停止処分の重みが全く違います。

例えば、ジョン・テリーの一件では4試合の出場停止処分が下されましたが、これはリーグ戦38試合のうち10%分の出場停止処分という事になります。

一方のMLBで考えてみると4試合は年間試合数の2.5%にしかなりません。

仮に、MLBがELと同じくらいの処分を下すとなればジョン・テリーの件で言えば16試合の出場停止処分が妥当だといえるでしょう。

スアレスの件で言えば、32試合分の出場停止処分がMLBでいえば妥当な処分だと思います。

あくまでも比較しただけではあるので、差別的発言の内容によっては変わってくるとは思いますが…。

著者:陣野俊史

文藝春秋

Kindle版:800円~

グリエルの処分は妥当か?

このような事例を見ていくとグリエル選手の処分は妥当なのでしょうか?

個人的な見解でいうと、上記でも述べたように妥当ではないと思います。

というのもグリエル選手の差別的な行為はWS、つまりレギュラーシーズンではない試合で行われたことであるので、そのレギュレーション内での処分が必要なのではないかという点が1つ目の理由としてあります。

WSの行為が来シーズンに持ち越される意味があまり理解できないです。

例えダルビッシュ選手の発言によるところもあるとは思いますが、仮にWS内で処分を下さないのであれば、来シーズンの出場停止処分を最低でも10試合以上にするべきではないでしょうか。

例え、10試合の出場停止処分にしたとしても年俸の減額は全体額からわずか6%ほどです。

年俸13億円以上の選手であるのならばそれ相応の言動が必要であることは間違いないはずです。

テニスのクリエル選手とは影響力も全く違います。もちろん、選手の名声や人気によって同じ人種差別的発言に優劣をつけているつもりではありませんが、今回のグリエル選手の行動はクリエル選手とは訳が違います。

というのも、グリエル選手が人種差別的行為を行ったのはWSであり、日本人や韓国人といっアメリカ国内以外からも注目を集める一戦であり注目度もたかいです。

その一戦の中であのような人種差別的な行為を行ったという事が何よりも罪が大きいことかと思います。

グローバル化を目指すMLBにおいても人種の多様性、人種差別の排除は重要なミッションであるはずです。現に中国にMLBのアカデミーを設置して野球のグローバル化を図っているこの時期に、WSといった普段野球を観ない人たちが野球を観るこの時期に起きたこのような人種差別的行為に対して、たったの5試合の出場停止処分というのは甘すぎると感じています。

サッカーでは人種差別的発言に対して4試合~8試合の出場停止処分が科されています。

MLBでいえば16試合~32試合相当の出場停止処分が科されている現状を考えるとMLBもそれ相応の処置が今後必要になってくるのではないのでしょうか。

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