野球はもはやサッカーに人気を取って代わられたスポーツなのか?
近年、小学生や中学生の野球離れが著しくなってきている。
小学生の軟式野球の競技人口は減少傾向(硬式は増加)
少年野球
スポーツ少年団現状調査報告書によると、スポーツ少年団における軟式野球の競技人口は2009年をピークに減少傾向にある。
過去10年間の他の競技も合わせたスポーツ少年団の団員数の推移と比較すると、軟式野球の団員数は全体と同じくらいの減少率であることがわかる。
これは子供の人口減少だけでなく子供のスポーツ離れもスポーツ少年団の団員数減少の要因であると考えられる。
以下は小学校の児童数とスポーツ少年団の団員数の推移を比較したものである。
2005年を100%として増減率を計算したところ児童数の減少率とスポーツ少年団(グラフでは全体と表記)の減少率では大きな違いがみてとれた。
2008年を境にスポーツ少年団の団員数の増減率が児童数の増減率と比べ大きく変化している。
ソフトボール
軟式野球と同様にソフトボールも団員数が減少している。
2010年まではソフトボールのスポーツ少年団の団員数は増加傾向にあったが2010年を境に減少している。
特にここ5年の減少スピードは著しく、2013年を境に増減率は全体を下回っている。
この傾向からすると2017年現在はさらにソフトボールにおけるスポーツ少年団の団員数は減少していると思われる。
子供会のように地域内でリーグを運営しているソフトボールのチームも数多く存在しているのがスポーツ少年団と同様にソフトボールの競技人口は減少しているだろう。
野球
スポーツ少年団現状調査報告書には軟式野球の他に「野球」といった括りでも調査報告がでている。
これは軟式野球を含まないとしか書かれていないが、おそらく硬式野球や準硬式のことを指すのだと思う。
この野球という分野では競技人口は2002年から2014年の期間で約3倍も増加している。
上のグラフは過去10年の推移を表しているが2014年までの過去10年間においても増加率は約140%であり、全体の団員数が減少しているのとは対照的に増減率は増加している。
これは中学から硬式野球を始めるにあたって少年野球から硬式野球に乗り換えるといったことがあるかもしれない。
全体的にみて小学生の野球競技人口は他のスポーツと同じ様に減少しているといえる。
ここでは詳しく述べていないがサッカーの2005年を100%とした2014年までの10年間の増減率は83.4%と軟式野球の80.2%とあまり差はない。
中学軟式野球の競技人口は12万人減少
次に軟式野球の競技人口の推移であるが、
中学軟式野球部に所属する生徒の数は年々減少している。
これは少年野球とは比べものにならないほどのヒドいものである。
(言い方は悪いが。)
中体連による加盟校調査によると、平成28年度(2016年)の軟式野球部に所属する生徒の数は185,314人であった。
平成19年度(2007年)の305,300人と比べると10年間で約12万人も中学軟式野球の競技人口が減少している。
年 | 軟式野球 | 野球(増減率) |
2007年 | 305,300 | 100.00% |
2008年 | 305,958 | 100.22% |
2009年 | 307,053 | 100.57% |
2010年 | 291,015 | 95.32% |
2011年 | 280,917 | 92.01% |
2012年 | 261,527 | 85.66% |
2013年 | 242,290 | 79.36% |
2014年 | 221,178 | 72.45% |
2015年 | 202,470 | 66.32% |
2016年 | 185,314 | 60.70% |
2007年からの10年間の増加率は何と60.7%であった。
スポーツ少年団(小学生)における軟式野球の競技人口の増加率は過去10年で(2014年まで)は80.2%であったので如何に中学野球部における競技人口が減少しているかがわかる。
特にここ5年間の競技人口の減少は著しく2007年を100%とすると、2012年から2016年の間に約25%も軟式野球部に所属する生徒の数が減少している。
一年あたり約2万人もの競技人口が減少しているのである。
小学生の増減率は2007年を100%とした場合、2012-2014年の3年間で10%減少であるが中学の軟式野球部は2年間で10%も減少している。
これからも如何に中学軟式野球部の競技人口が急激に減少しているかが伺える。
この傾向は過去5年間一定の減少率を保っているので今後もこの減少率を維持したまま競技人口が減少する可能性も大いにあるだろう。
中学軟式野球部の競技人口の減少の理由としては学校の野球部に入部する代わりに外部の硬式野球チームや軟式野球チームに入る選手が増えたということが考えられる。
これについては東洋経済オンラインの記事でこのように書かれている。
小中学生も硬球でプレーする。野球を教える組織としては、先に述べた軟球でプレーするスポーツ少年団、中学校の部活動を束ねる中体連などとは別に、硬球でプレーするリトル(4~12歳)、リトルシニア(中学生)、ボーイズ(小中学生)、ヤング(小中学生)、ポニー(中学生)などのリーグに加盟するチームも存在する。
上記の主要5リーグの本部に加盟選手数の増加について問い合わせたところ、実数を把握していない本部もあったが、回答はいずれも横ばいか微減だった。軟式野球とは違い、関係者からは選手の減少に危機感を持つ深刻な声は上がっていない。中にはポニーベースボール協会のように、選手数が2010年の700人から2000人と大幅に増加しているリーグもあった。
(「競技人口減」で先が見えない日本野球の現在 | 日本野球の今そこにある危機 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準)
この記事によると外部チームの競技人口は横ばいまたは微減である書かれている。
この記事だけでは判断することはできないが、この記事の内容が仮に本当であれば、野球の競技人口は急激に減少していると言えるだろう。
Jリーグの躍進やBリーグによるバスケットの人気によってますます野球の競技人口は減っていく可能性がある。
競技人口の減少を食い止めるためにも、坊主の強制といった時代遅れの伝統やシニアやボーイズといった乱立する組織の一本化、プロアマ規定の緩和又は撤廃などすべきことはたくさんある。
プロ・アマ規定の変更は指導者不足の問題を解決するための一つの手段として議論していくべきであると思う。
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