MLB グリエルの人種差別的行為について思う事 中南米の多くの人々は「釣り目ポーズ」を差別と認識していない

スポーツ

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先日のMLB・ワールドシリーズの一戦で元DeNAのグリエル選手が人種差別的な行為をダルビッシュ選手に対して行ったとニュースになりました。

僕個人もテレビで見ていたのであのシーンを見たときに人種差別行為だと思いましたが、案の定アメリカや日本のメディアで大きく取り上げられていましたね。

こちらが主なニュースになります。

sports.yahoo.co.jp target=”_blank”

www.latimes.com

ワールドシリーズ(以降、WS)といった野球の真剣勝負を見られる数少ないイベントでこのような人種差別的な行為が行われたことはとても残念です。

僕自身、アメリカに来るまでは人種差別といっても遠い存在のようなモノだと認識していましたがアメリカに来てからはとても身近な存在になりました。

今回は僕がアメリカに来て感じたこと等を皆さんに共有できればなと思います。

グリエル選手の行為

まず初めに、どのような行為が行われたかという事からですね。

2017年WS第三戦、ドジャースをホームに迎えたアストロズの一戦でした。

ドジャースの投手は日本人のダルビッシュ有選手。

グリエル選手の問題の行為はダルビッシュ選手からホームランを打った直後のベンチで行われました。

下の動画がグリエル選手の人種差別行為です。

20秒くらいに問題のシーンがあります。

目尻を引っ張って細目のようにしていることが見て取れます。

これだけ見るとわかると思いますが、アジア人に対して外国人が行う侮辱的な行為の一つです。

明らかに人種差別的な行為ですね。

またグリエル選手はこの「釣り目」ポーズの際に “Chinito”と発言しています。

Chinitoとは「小さな中国人」といった意味でヒスパニック圏ではアジア人対して普通に使われている言葉です。

しかし、アメリカ人の中には差別的な意味として受け取る方もいるようです。

さらに残念なの事が、グリエル選手は2014年シーズンに日本のプロ野球で横浜DeNAベイスターズの選手として約半年間日本でプレーしているんですよね。。

このように日本語を使ってツイートしているよう日本でプレーしていた時代の写真をよくSNSにあげたりしていました。

それだけに今回の差別行為は非常に残念です…。

MLBの処分と過去の事例

MLBの対応

さて、今回のグリエル選手の人種差別行為にたいしてMLBは以下の処分を下しました。

  • 2018年レギュラーシーズン5試合の出場停止

これを受けて残り最大4試合あるワールドシリーズにグリエル選手は出場できることになりました。

MLBがワールドシリーズの残り試合を出場禁止にするのではなく2018年シーズンでの出場禁止と決定した理由は4つあるそうです。

  1. レギュラーシーズンに出場禁止処置を下すことによって年俸減少の制裁が可能
  2. 24人の選手登録であるので1人を出場禁止にするのは不公平
  3. ダルビッシュ選手の要望
  4. 出場禁止の処置を遅らせることによってグリエル選手が異議申立てをする機会を与えるため

以上の4つの理由から2018年シーズンへ出場禁止の処置を先延ばしすることになったそうです。

過去の事例

2016年にはシアトル・マリナーズのクレベンジャー選手がSNS上で人種差別的ツイートを行ったとしてマリナーズから10日間の無休の出場禁止処分が下されました。

これはMLBからの処分ではなくマリナーズが行った処分です。

詳しくはこちら

www.nikkansports.com

また2017年度のレギュラーシーズンでブルージェイズのピラー選手が試合中に差別用語を使用したとして球団から2試合の出場禁止と2試合分の給料の罰金をピラー選手に科しています。

他にも2017年シーズンにおいてもLGBTに対しての差別発言でアスレチックスのジョイス選手がMLBから2試合の出場禁止処分が下されています。

このように過去の事例をみてみると多くの場合2,3試合の出場禁止処分といったところのようです。

マリナーズのクレベンジャーはシーズン残り10日であり、怪我をしていこう出場していなかったこと、人種差別に対する抗議運動が行われている最中だったことが原因で10日という長い期間になったのではと思います。

他のスポーツでは?

他のスポーツ界においてもグリエル選手が行った「釣り目ポーズ」で処分を下された事例があります。

例えばブラジル人のテニスプレイヤーは同じ行為をして$1500もの罰金処分が下されています。

news.livedoor.com

著者:陣野俊史

文藝春秋

Kindle版:800円~

この件から思う事

今回のグリエル選手の人種差別的行為から思う事は、中南米の選手はグリエル選手が行ったようなジェスチャーを人種差別的行為として認識していないという事です。

中南米だけではなく東欧の人も悪気はなくこのようなジェスチャーをしている人をよく見かけます。

バレーのセルビア代表も東京五輪行きを決めた直後の写真撮影であのようなジェスチャーをしていました。

www.huffingtonpost.jp

例えば、今回の一件ではグリエル選手の人種差別的ジェスチャーの後にこのようなツイートがありました。

(残念ながらツイートが削除されていますが日本語訳で紹介させていただきます。)

グリエルは人種差別主義者(レイシスト)ではない。だってヒスパニックは皆んなあのようなジェスチャーはするし。実際、わたしもあのような事をしたことはあるけど私自身はレイシストではないよ。

上のツイートはヒスパニックの方がTwitterで投稿した内容の日本語訳です。

このように、ヒスパニックの方々の多くはあのような人種差別的ジェスチャーを差別的意味として捉えてはいない事がわかります。

実際、僕のチリ出身の大学の友達はあのようなグリエル選手の行為が人種差別的ジェスチャーだと今まで知らなかったと言って、とてもショックを受けていました。

彼は今回の件で初めてアジア人大して目を細めたりする行為が人種差別的な行為であることを知ったようです。

またアメリカ人のルームメイトも以前僕に対して目を細めるジェスチャーをしてきたことがあります。

その時も僕が「それは人種差別的なジェスチャーでこの前ブラジル人のテニス選手が罰金処分を受けていた。」

と教えて初めて人種差別的な行為だと知ったほどです。

このように多くの外国人は人種差別的な意味を含むと知らずにあのような行為を行っているのだと思います。

それをふまえるとダルビッシュ選手のコメントはとても重要な事であるような気がします。

「客観的に見ると、絶対にアジアの人だけじゃなくて、いろんな人種の人たちを区別するようなことをするっていうのは、もちろん良くないことだとい思いますし、ああいうことをパブリックのところでしてしまっている以上はちゃんとMLBとかも、それなりの処置をしないといけないとは思います。

 けれども、完全な人はいないので、彼もそうでしょうし、自分もそうでしょうし、ここにいる人たちもそうでしょうから、それも彼の中でも一つのミスであって、これによってまたいろいろな人が学べると思うので、人類として――本当に大きなことになるけど、人類としてまた一つ学んで、前に行くステップにできれば、ただのミスで終わらないんじゃないかなと思います」

*1

このコメントの通り、人間としてミスから学んでいく事が必要なのだと思います。

僕たち日本人がよく使う「外人」という言葉も海外の日本語を話せる方からするとあまり気分を良くする言葉ではないそうです。

このように日本人が普段何気なく使っている言葉にも一歩間違えると差別的な言葉になるような言葉やジェスチャーは数多く存在します。

なので、むやみに差別行為をした人を捲し立てたり批判するのではなく、そのような言動は差別的な意味を含むという事を相手に認識させることが必要なのではないかと思います。

ですが、認識させるといっても年相応の対応は必要です。

12歳ぐらいの子に教えるのとグリエル選手のように30歳を過ぎた人に対しては勿論対応は違っていいはずですし、違うべきです。

20歳を過ぎて社会に出ている以上「知らなかった」では通用しません。

ましてや30歳を過ぎたグリエル選手の行動を「知らなかった、悪意はなかった」で許すことはナンセンスかと思います。

今回はもう過ぎてしまったことなので今更何を言ってもなんですが、グリエル選手のした行為が人種差別的ニュアンスを含むという事を多くの人に知ってもらえたら嬉しいですね。

追記:

アメリカのニュースを見ているとグリエル選手の出場停止処分が5試合になったとかたくさんみかけるが、何故あのようなジェスチャーがいけないのかと言った事の言及が少なすぎるように感じます。

このような報道の仕方では今後も差別はなくならないと思います。

仮にWSでの出場禁止処分を下しても選手組合の異議申し立てによる来シーズンまで裁定は引き延ばされ、その間グリエル選手は出られるだろうという記事もありました。

この件が本当なら選手組合は被害者を無視し加害者を被害者のように扱う残念な組合なんだなと悲しく思います…。人種差別を肯定するかのような行動はあり得ないですね。

著者:陣野俊史

文藝春秋

Kindle版:800円~

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